たこやき

サタンタンゴのたこやきのレビュー・感想・評価

サタンタンゴ(1994年製作の映画)
4.3
7時間ってどんな映画?という興味と、映像体験という言葉に惹かれて鑑賞。
まさにその言葉通り、体験する映画だった。

冒頭の牛たちが歩くシーン、そこから建物の後ろに移動して…。目線の高さで風景が移っていく。寂れた物悲しい村に吹く風、牛の鳴き声。
部屋の中に朝日がカーテン越しに徐々に差し込むシーン。
全てゆっくり、追っていく。

この長回しの体験は他にない。
ああそうか、画面切り替えって映画やテレビだからあるのであって、普通はこんな風にただ何かを見つめることもあるよねと。
究極のリアルだと感じた。
自分もこの世界にいて、降り続く雨に辟易しながら村人たちと同じように将来不安を抱えているかのような気持ちになった。

モノクロの美しさにも驚き。
空に伸びる木の枝のシルエットと白い空、紙くずが舞い散る中を進む黒服のイリミアーシュたち。
画面構成もちゃんと計算してるんだろうなと素人ながら思った。

パンフレットを読んで、あ、アレはそういうことだったの!と後でわかった部分もあったがw、小さいことはあまり気にならないくらい映像で感じ取るものが多かった。
セリフでは、途中に出てきた夜明けの詩のようなフレーズが個人的には一番印象的だった。

終わってみたら、7時間という時間に納得。
「高尚な映画で、自分に合わなかったら7時間辛いよな…」
と心配だったが、贅沢な時間を過ごさせてもらった、という気持ちになった。
でもおしりと首は痛かった。
たこやき

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