タルコフスキー作品2作目
ストーカーより主題がはっきりしていて分かりやすかった気がする
イタリアを縦断する男女の話?
◾️登場人物
・エウジェニア…金髪でウェーブのイタリア人女性
・アンドレイゴルチャコフ…羽のような白髪が混ざったロシア人男性 ロシアの音楽家(サスノフスキー)の伝記を書く詩人で作家 イタリア語が話せる
・ドミニコ…黒い帽子をかぶっておおきな犬を連れたおじさん 信仰から家族と7年間家にこもっていたが妻と子供には逃げられた?
・マリア…白黒世界の黒髪女性
◾️内容
2人の男女が温泉地に滞在している
男性の記憶のような
白黒の映像が挟まる
男性の部屋と記憶の世界は繋がっている
記憶の世界の人々はこちらを見ている
男性は時々こちら側を見てるような雰囲気がある
フェーデ…信仰
ドミニコはひどい雨漏りの家に住んでいて、瓶やビニールを置いているが床は水が張っている
ドミニコは家に来たアンドレイにパンとワインを差し出し
「私はエゴイストだった、世界平和のためにわたしに代わってくれ」と語り出した
部屋に戻ったアンドレイに
女性は自由について語るが2人は仲違いする
ゾーイ…犬?
サスノフスキーからピョートル(元ロシア皇帝?)への手紙
アンドレイは森の中にある水に沈んだ建物の中で、ロシアの酒を飲みながら幼い頃の記憶に想いを馳せていると
無言で陰から出てきた子供アンジェラに語り出し、「人生に満足か?」と問いかけ、そのまま水辺で眠る
…
夢の中でアンドレイは荒れた白黒の町の路地を歩いている
そして神に語りかける
鏡のついた扉に手をかけるとそこに映っていたのは老人の姿だった
…目を覚ますと、アンドレイは泣いていた
女性はアンドレイに電話をかける
女性は、「ローマで講演をするドミニコに会っている、恋人とインドへ行く、ドミニコはアンドレイが約束を果たしたかを気にしている」と言う
それを聞いたアンドレイはタクシーの運転手に「行き先を変更して、今すぐにヴィニョーニ温泉へ行く」と告げる
ドミニコは銅像の上から「間違えたところまで戻ろう、水を汚さずに生きよう」と演説する
そして油をかぶり、ライターに火をつける
犬が鳴き、警察が駆けつけ、ベートーベンの歓喜の歌が鳴り響く
周りの人は関心を示さずじっと見ている
温泉地へ戻ったアンドレイは、タクシーを待たせ、薬を一粒飲む
ドミニコから預かったキャンドルにライターで火をつけ、手にしたまま温泉に入るが
温泉は枯れている
アンドレイは枯れた温泉の端から、火を絶やさぬようにコートで守りながら歩く
しかし火は途中で絶える
アンドレイの右目は赤く腫れていて、苦しそう
3度目になんとか端まで辿り着き、温泉の縁に蝋を垂らしキャンドルを立て
アンドレイは倒れ込む
ラストシーン
白黒の箱庭の水たまりの際で
大きな犬とアンドレイがじっとこちらをみつめている
雪が降り出し後ろの木々を白く染めていく
「母の思い出に捧げる アンドレイ・タルコフスキー」
end
◾️感想
映像の左右対称な構図が美しい
祈りを捧げていた信者が教会のマリア像?の胸元を開けて、中から数十羽の小鳥が飛び立つシーンが印象的だった
映像が突然陰ったり、光が当たったりするのが、こちらの心情をゆさぶる
雨漏り、白黒の沼、森の水に沈んだ建物、水の表現がとても綺麗、映像も音も
映像に水が映っていなくても、どこからか水の音がするときがある
アンドレイのツイードのコートが美しい
◾️鑑賞後
温泉の縁で飲んだのは心臓病の薬だった
女性は通訳だった