このレビューはネタバレを含みます
🌙2024.11.28_24-192
夢と現実の狭間を覗き見しているような映画。構図とそこに映されるものがどれも美しい。正直、前半はストーリーが掴めず焦っていたけど後半に進むにつれどうでも良くなった。この美しさを享受できたということだけで満足。水、霧、炎、音、光と影...水の音と映し方が特にお気に入り。
ドメニコのことはきっと私たちには理解できない。その彼のことを主人公のアンドレイが理解し信仰していく様が少し怖くもある。"蝋燭を持って温泉を渡る”...何を言っているのか正直理解に苦しむが、狂人の言うことに魅力を感じてしまうのは何故なのか...この行為は今思うと人生そのものを表していたのかもしれない。そのあとのアンドレイの死にゆく姿は詩的で何とも言えない気持ちになる。
タルコフスキー長篇映画第6作目。はじめてソ連国外で製作された本作はイタリアで撮影が行われた。本作についてタルコフスキーは「祖国を離れたロシア人特有の精神状態=ノスタルジアを描きたかった」とのこと。
これを「母に捧げる」という文面と共に残すタルコフスキーはどんな人生を送ってきたのだろうか。
大満足しているとはいえこの映画を咀嚼しきれなかったことは悔やまれるからまたリベンジしたい。