イチロヲ

新宿乱れ街 いくまで待ってのイチロヲのレビュー・感想・評価

4.0
飲み屋で働いている女優志望の女性(山口美也子)が、同棲相手のヒモ男(神田橋満)から邪険に扱われながら、自分の進むべき道を模索していく。新宿の路地裏を舞台にして、女の幸せ探しと自己実現を綴っている、日活ロマンポルノ。

山口美也子に衣食住を頼っている、シナリオライター志望のヒモ男が、自己喪失による苛立ちと嫉妬心を募らせていく。そして、自分にとって最良のパートナーが付き添ってくれているにもかかわらず、因果応報へと落ちていく。

主人公が勤めている小さな飲み屋に「THE 70年代」が凝縮されており、多種多様な客人が訪れては、それぞれのドラマを紡いでいく。客に混じってカメオ出演している内田裕也の講釈は、新宿の変遷を知る者にはグッと来るものがあるに違いない。

主人公の気持ちを汲み取ることができない、身勝手なヒモ男に心底イライラさせられるが、ラストの定番の着地にはスッキリ爽快。また、ドラミング・オンリーの前衛音楽が、独特の雰囲気を醸し出している。
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