MasaichiYaguchi

ミケランジェロ・プロジェクトのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

3.5
ジョージ・クルーニーが監督・製作・脚本・主演と4役こなし、マット・デイモン、ビル・マーレイ、ジョン・グッドマン、ケイト・ブランシェット、ジャン・デュジャルダンという豪華キャストで描かれるのは、第2次大戦中に実在した美術品奪還チーム“モニュメンツ・メン”。
青年期に画家を志したヒトラーは、ヨーロッパ各国に侵攻すると共に大量の美術品を略奪して秘匿したが、敗色の濃くなった戦争末期、ナチス・ドイツが美術品や文化財を破壊していくのを知ったハーバード大学付属美術館館長フランク・ストークは、後世に残すべき美術品や歴史的財産を守る為に特殊チーム“モニュメンツ・メン”を結成する。
この“モニュメンツ・メン”は芸術分野で秀でた精鋭メンバーで構成されているが、戦闘経験の無い中年男ばかりのチーム。
それでも彼らは“文化や人間の生き方”を表した美術品は破壊されたら永久に失われてしまうという危機感に駆られ、銃弾飛び交う最前線へ飛び込んでいく。
映画ではナチス・ドイツが秘匿した大量の美術品の在り処を彼らが探り出す過程をドラマチックに描いていくが、舞台となっているヨーロッパが如何に文化や芸術において豊かな歴史を持ち、人類にとって掛け替えの無い宝庫であるかということを痛感した。
美術ファンの一人として、偉大な芸術家達が血と汗と、才能と鍛錬された技能によって生み出した“結晶”、人類の資産と言って良い作品の数々が多くの人々の命と同様に、戦争の狂気によって失われていくのを見るのが辛い。
戦後70年の節目の年、先の大戦で命懸けで人類の宝を守ろうとした男達の高い志と熱い思いが胸に残る。