n0701

ミケランジェロ・プロジェクトのn0701のネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

希代の火事場泥棒の話だが、美術の歴史は風化や破壊、保存の歴史でもある。一部の人間の命より、一部の人類の歴史の方が価値があるという話だ。

人間の天命は人類の進歩に貢献することにある。その一歩は短くとも、その前進が全体の歩みを進める。果たして美術や芸術は人類にどのような革新や閃きや進歩に貢献したのだろうか。

その抽象的な前進を相対化して、失われかけた感動を、一部の非戦闘部員が命をかけて保守したことに照らし、焦点化している。

今なお、歴史的建造物や遺産は戦争や紛争で脅威に晒されている。果たしてその一枚の絵画や壁画、彫刻がどのように後世に波紋を広げ、派生するかは分からない。現在の美術や芸術はどれぐらい吸収されているかも分からない。

故にこの作戦には、終わりがなかったはずだ。ある特定の絵や目的物を奪い返すのではなく、手当り次第に強奪していく。だからこそおそらく伝わりにくい映画だったに違いない。要はルーチンワークに似ている。次から次へと湧いてくるものを差し当たり次から次へと処理していく。

これだけ豪華な人員を起用し、ここまで評価が低いのは曖昧な目的物をいくらでも奪い返すところにある。観客はオーシャンズ11を想像したに違いない。だが、事実なんてこんなものだろう?
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