ハシゴダカ

ドレミファ娘の血は騒ぐのハシゴダカのレビュー・感想・評価

ドレミファ娘の血は騒ぐ(1985年製作の映画)
3.3
黒沢清の初期作を年始一発目に。
手放しで面白かったとは言い難いけど、好きな監督なので嬉しくなるポイントがいくつかあった。

冒頭から洞口依子の横移動長回しショットがあって、そこはかとなく若々しい黒沢清の気配を感じて妙に嬉しい。

正直、出ている若い俳優達のぎこちなさとか背景の手作り感のせいか、何とも自主制作映画っぽさがすごいけど、あの黒沢清もこういう時代があったのかと嬉しくなってしまった。荒削りだって良い。とにかく作品を完成させないと。

妙に薄暗い教室内や工場のような校舎の廊下とか、朽ちた外壁の校舎とか、おもむろに吹く風とか、背中越しに人物を追っていくと向こうから別の人物が現れてくるとか、不穏な雰囲気が漂っていて、この頃から黒沢清フレーバーがあるのも嬉しい。

10分に1回くらいの頻度で女性のヌードが出てくるんだけど、これは別に嬉しくない(笑)。
黒沢監督が映画を撮りたくて撮りたくて仕方なかったこの頃に、日活からロマンポルノなら予算がおりるってことで、数分に1回でカラミまたは裸を入れるという条件で撮ったのは本作だったっけな…?
そのヌードが全くエロくないっていう。仕方なく撮っている感がすごい(笑)。
こりゃ、日活も本作をロマンポルノとしての納品は許さなかったっていうのも頷ける。エロくないから。

逆に、エロとは何かを考えさせられるような。
考えてないけど。

ともあれ、映画であれ音楽であれ美術であれ芸術全般で、その道の匠のまだ試行錯誤している頃の習作を観て聴いて感じる事は、とても勇気づけられた。
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