凛太朗

鑑定士と顔のない依頼人の凛太朗のレビュー・感想・評価

鑑定士と顔のない依頼人(2013年製作の映画)
4.2
「いかなる贋作の中にも必ず本物が潜む」

年末に字幕で、そして今年の始めに吹き替えで鑑賞。
監督及び脚本は、『海の上のピアニスト』や、それから多くの人が大好きな『ニュー・シネマ・パラダイス』のジュゼッペ・トルナトーレですね。
私も大好き『ニュー・シネマ・パラダイス』。見る度に鼻水垂らして嗚咽を漏らしながら泣く勢いで。
音楽もこれまた名手エンニオ・モリコーネですね。主演はジェフリー・ラッシュ。
この豪華な映画を何故に今までスルーしていたのかが、個人的にはこの映画のミステリーよりミステリーだよ。なんかジェフリー・ラッシュが椅子に座っているパッケージで、どうやら胸糞エンドらしいけど面白いらしい映画ってことだけは知ってたんだけれど。

2回続けて観れるくらいには面白い映画でした。
そして1回目と2回目の鑑賞で、感じることが全然違ってくる映画。
とは言え、1回目観た時点でそれ程胸糞だとは個人的には思わなかったんですけどね。吃驚はしましたけど。
因果応報というか、人を騙して絵画の女性を愛でる孤独な人生から、Night&Dayで文字通りいつもいつでも、騙されても尚待ちたいと望む三次元の相手に出逢えてよかったじゃん。来るはずがないとしても。と思った。別に二次元を愛でることが悪いというわけじゃないけど。

演出や音楽、それにジェフリー・ラッシュの演技は勿論ですが、海外や家具などの美術品が美しく荘厳で素敵でしたね。
ただ、そういった絵画や家具などの美術品が綺麗だとか美しいだとか思いこそすれど、その真価なんぞ1ミリも理解できないし、それを大金叩いて有り難がる資本家の富裕層の気持ちも、やっぱり1ミリも理解できないし、理解しようとも思わないんですけどね。
そういった意味でも胸糞感はあまり感じず、寧ろ糞ざまぁ感を感じたと言いますかね。

顔のない依頼人ことクレアを演じているシルヴィア・フークスさんはびっくりするくらい美人ですね。
顔を見る前はミステリアスが故に好奇心から惹かれるし、顔を見ちゃったら見ちゃったで、その美しさ故に惹かれるし、こりゃもう人間及び男の性として仕方がない。

本作の主人公ヴァージルで、この名前、トリアーの『ハウス・ジャック・ビルト』でも出てきてて、両作とまダンテの『神曲』に言及している方もちらほら居ますけど、確かに本作におけるクレアは、ダンテを導くベアトリーチェっぽいですね。最初は姿が見えず声だけだし。
ほな、本作におけるダンテは誰やねんって話なんですけど、ヴァージルがダンテなんですかね?
じゃあヴァージルは誰やねん?ビリー?ロバート?監督自身?そういう考え方も勿論できると思うんですけど、ヴァージル(Virgil)はあくまでも『神曲』における案内役のウェルギリウス(Vergilus)であって、ダンテは映画を観てる我々なんとちゃうか?とかも思ったりします。知らんけど←
凛太朗

凛太朗