くりふ

鑑定士と顔のない依頼人のくりふのレビュー・感想・評価

鑑定士と顔のない依頼人(2013年製作の映画)
2.5
【ご愁傷さまでした、としか。】

キネ旬シアターにて。端正な作りだし劇場の画面で見てよかった、とも感じたが不満は多々。

見ていてあ、これヒッチコックの『○○○』じゃん!と思い、大好きな作品なのでどうにも比べてしまった。

現代版『○○○』に仕上がったらそれはそれで面白かったのですが、当社比6割程のところで物語が終わってしまって膝カックン。

『○○○』は狂おしき愛の事件がジャジャーンと終わった後、主人公らがその歪な事件を受けどう変質していくか…という事後のドラマの方が面白かったので、半世紀も前の映画からナニ後退してんねん!と思っちゃった。

オチも途中で予想つくし、まさか今どきここで終わるとは。その点でびっくり(笑)。

名作と言われる『ニュー・シネマ・パラダイス』に感心せず、以来この監督の作品いくつかみたけど共感できた記憶がない。何だか人間をモノのように扱っている気がするのです。

本作もそう。映画の作り手自身が、計算しながら主人公を陥れているように見える。どうも性に合いません。

事件の仕掛けは単純ですよね。「たぶん首謀者」の動機にも一応スジが通っているし。でも理屈でわかるだけ。

そして主人公が面白くないのは、あの莫大なコレクションが象徴するものと、生身の女に対する愛との対比が面白く描けていないことがいちばん大きかった。

彼には「ご愁傷様でした」くらいしか言いようがなかったです。

<2015.5.15記>
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