『ニュー・シネマ・パラダイス』のジュゼッペ・トルナトーレによる渋いミステリー作品。
まず映画としてのルックが素晴らしかった。
鑑定士が主人公ということもあってか映画の美術やロケーションなどがとにかく美しくて、小さな話でありながら屋敷のスケール感などもバッチリだったと思います。
お話はどメンヘラのファム・ファタールに翻弄されていく童貞の老鑑定士という、このキャリアでこんなに尖った物語描くの?とトルナトーレの作家性に驚かされました。
ジェフリー・ラッシュの男子高校生ばりの恋愛で一喜一憂する様は結構笑っちゃう感じでしたが、ラストシーンのあの表情は流石という感じ。
ヒロインを演じたシルヴィア・フークスのミステリアスで色気のある佇まいはまさにファム・ファタールという感じでこちらも良かった。
エンニオ・モリコーネによる劇伴もより映画を高尚なものにしていたと思います。
意表を突いたクライマックスの展開とそれに付随するラストシーンは圧巻。
ただ所謂スカッとするどんでん返しものを期待すると微妙かもですね。本作はそこがメインではないので。