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ナタリーのchakoのレビュー・感想・評価

ナタリー(2011年製作の映画)
3.7
数年前、図書館で何気なく手にした「ナタリー(原題La délicatesse)」というフランスの恋愛小説。
私の中で主人公ナタリーという女性は美しく聡明で、でもちょっと掴み所がないというか、何を考えているかよく分からない。そんな印象で、外見を誰かに例えるならオドレイ・トトゥのような女性をイメージしながら読んでいて、その後その小説が映画化されていると知り、さらにナタリー役は私のイメージ通りオドレイ・トトゥが演じていると知って驚きました。

で、いざ本作を鑑賞。
原作の著者とその弟が監督を務めているだけあって、原作に忠実に作られていて繊細な心情が伝わってくる。

ナタリーは情熱的な恋をして結婚した最愛の夫を事故で亡くす。哀しみを紛らわすかのように仕事に没頭し、そうして三年の月日が流れた頃、彼女の前に現れたのが冴えないスウェーデン人男性のマーカス。

原作を読んでいた時にマーカスは見るからにパッとしない冴えない男性というのは頭にあったのだけど、映画で登場した時はおっと、そうきたか・・・!と少し驚きました(笑)
でも、人は見た目じゃない。
"夫を亡くした可哀想な女性"と、誰もがナタリーを腫れ物に触るように扱う中で、マーカスだけは違った。彼といることで、彼の優しさに触れることで、ナタリーは自分の心の中に押し殺してきた哀しみや痛みが癒やされていったんだろうな。
ちょっと変わり者で、薄くなった頭の汗をハンカチで拭いたり、T.Rexの「Get It On」に合わせて浮かれる彼の姿を観ていると、何だか可愛らしくて微笑ましくなった。

原作でも映画でも、この作品で私が一番好きなのはラストシーン。
最後の一文字を読み終えて本を閉じた時、自然と自分の顔が笑顔になっていったのを覚えている。

『ナタリーのすべてを知るこの庭に
僕は隠れよう』

彼の言葉と、ナタリーを見つめる優しげな彼の表情。その優しい余韻に浸っていたくなる。

この監督、来年日本公開される「愛しき人生のつくりかた」という作品で脚本を務めているみたいなので、そちらも楽しみです♪