のんchan

エレニの帰郷ののんchanのレビュー・感想・評価

エレニの帰郷(2008年製作の映画)
3.7
ギリシャ🇬🇷の巨匠テオ・アンゲロプロス監督の20世紀3部作の第2部にあたるが、第3部を製作中の2012年に交通事故で亡くなられた為、こちらが遺作となった。

この作品だけを鑑賞する人には解り難いだろうという気がした。第1部『エレニの旅』を観てからをお勧めしたい。

この作品は1人の女エレニ (イレーヌ・ジャコブ)と2人の男、夫のスピロス (ミシェル・ピコリ)と親友ヤコブ (ブルーノ・ガンツ)の物語。
ジャケの副題に添えてある言葉
『母が愛した人と、母を想いつづけた人と』
とあるように、夫を愛し、親友から愛されていたエレニ。深い深い愛情の物語。

アンゲロプロス監督が生まれたのは独裁政権下。その時代を生き抜いた監督らしく、この作品にも時代背景が色濃く反映されている。
1953年、ソ連最高指導者スターリン逝去から始まり2000年の幕開けに至るまでとなっている。

私たち日本人はなかなか理解し難い部分もあるけれど、これは国が違ったとしても、誰にでも故郷があり(国、場所が無くなってしまう事もあるが、心の故郷はある)親から子への深い愛情の絆が繋がっている。というテーマとなっていた。

エレニの息子役としてウィレム・デフォーが映画監督となっている。その娘もエレニと名付けられているので、始めは戸惑ったが、後半はすんなり観れる。

私は監督作品がこれで4本目だが、監督は一貫した撮影法があり、長回しがあったり、もちろんCGのない時は当然だが、使える時代でも絶対に使用せず、あくまで生の人間を大勢使う。かなりのファンでないと途中で退屈感が出てしまうかもしれない...

この作品の後半30分がとても良かった❣️
それは、ブルーノ・ガンツの独壇場?と思える程の見応えがあったから‼️
駅の構内でダンスをするシーン✨
部屋での言葉少なに語るシーン🥃
橋を歩き🌂船に乗ってからのシーン🌀
私はブルーノのシーンを観れただけで満足💗

巻末特典映像に奥様と娘さんのインタビューが入っていて、監督を偲んで語られている言葉を確認出来て良かった❤️

奥様曰く『テオは生きることへの情熱と自身の考えを世に示したいという欲求に満ちたとても強い人だった。意思が強く妥協知らずで、何をするにも自分で決めた通りのやり方を最後まで貫く人。そんな状況下でも明るい未来を信じてやまなかった。信念さえあれば人は誰もが自身の運命を切り拓いて行くことが出来ると強く信じていた』

偉大な監督だからだけでなく、全世界がコロナ禍の今、わたしたち一人一人が強い意思で行動したいものだと通じるものを感じた✊
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