タマル

極道恐怖大劇場 牛頭のタマルのレビュー・感想・評価

極道恐怖大劇場 牛頭(2003年製作の映画)
4.0
三池崇史の新作。監督にとって初のラブストーリー。
「バイオレンスよ、さらば」とかコメントが出されていて、目の前が真っ暗になったままここまで生きてきましたが、本日出された予告編がどう見てもバイオレンスだったのでウキウキしてこのレビューを書いております。

さて、三池崇史といえばセックスですら色っぽく撮れないで有名です(セックスを恐ろしく、面白く撮る能力は優れています)が、恐らくその極北が本作といってよいでしょう。ラストのアレは……ねぇ?
本当に佐藤佐吉先生には感謝しかございません。

「子供の頃に知らない街へいった時のあの感覚」が本作のコンセプト。「知らない所へ行く」その不気味さを表現主義的に具体化してみせたデビィット・リンチの『イレイザー・ヘッド』という傑作がありますが、あれは主観的に見た時の無意識の表出であり、本作は世界を完全なる「外部」に変えてしまうという方法を取っています。また、それによって「ヤクザ映画」というフォーマットを脱構築しようという戦略もあったそうです。それに成功しているのかはトンパチすぎてよくわかりませんが。

母乳ギャグがしつこすぎる嫌いがあり、ホラーというほど怖くなく、ヴァイオレンスというほどもなかったためこのスコアですが、まぁ名作ですよ。本作を鑑賞した後に「この監督は病気だ」と吐き捨てる人を見て、ちょっと嬉しくなってる人は多分もう三池ワールドの虜です。それはつまり私ということですが。
タマル

タマル