豚肉丸

ウォールデンの豚肉丸のレビュー・感想・評価

ウォールデン(1969年製作の映画)
4.5
高校3年生になってから1本目の映画。

ジョナス・メカス監督がアメリカに渡ってから撮り溜めた映像集

本人がこの映画を「日記映画」と称しているがまさにその通りの内容であり、映画と言うよりは前衛的なホームビデオを見せつけられている感覚。
同監督の『リトアニアへの旅の追憶』を観ていたため映像を細かく切断する編集のスタイルなどはあらかた知っていたものの、上映時間3時間という部分が不安になったが(リトアニア〜は90分)、見始めると案外あっという間に3時間が経っていて驚いた。

映されるのは60年代のニューヨークのサブカルチャーとアングラ文化、そしてジョナス・メカス監督の日常の風景。それらの映像が細かく切断され、バラバラに繋ぎ合わされ、コラージュされた映像が3時間永遠に続く。ほぼ常時手ブレだらけでまさに典型的な前衛映画であるものの、不思議と3時間飽きさせない力があるのが面白い。そして、それらの映像から垣間見える日常の美しい瞬間と家族や友人の愛など、様々な感情が映され、感じ取れる。
特に印象に残った瞬間は監督が朝食を食べている場面。机に猫が上がってきて机に乗っていたパンを食べ、猫と触れ合うあの瞬間。言語化は出来ないけど「良いな」と思える瞬間が詰め込まれていて、何というか心に来るものがある。

3時間という長い時間他人のホームビデオを見せつけられると、不思議と愛着が湧いてしまうもので、終わってしまうと少し寂しさが残る。鑑賞中も含めて、今まで味わったことが無い不思議な映画体験だった...

受験が終わったら『歩みつつ垣間見た美しい時の数々』を見たいな。
豚肉丸

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