少年が大人の世界を知って成長する系のメキシコ映画

工夫のない手持ちカメラの映像が結構多くて撮影的にそこまで好きなものではなかったけど、曇天での撮影を徹底して陰鬱な空気感を齎すことに成功していたのは良かった

(東京国際映画祭2013) 海沿いの寂れたモーテルの管理を任された少年と、いつもここで恋人に待ちぼうけを喰わされる女との交流。しっかり者のセバスティアンの働きぶりの脇から、ミランダの寂しさが垣間見える。
ゆったりとしたカットが畳み掛けられるにつれて、ジワジワと引き込まれ、何とも言えない癒やされた気分に。映画中のモーテルの名前と映画の原題が対称性を持つのも粋。ラストの切り方も素敵だ。

いい映画だったと思う。実直な映像にゆったりとした間、どことなく湿っぽい雰囲気が作品に一貫して流れていて良く出来た映画だったと思う。いい意味でとても地味。退屈を描いていながらそこまで間延びを感じなかったのは、最初からカットのリズムが遅かったからかな。