このレビューはネタバレを含みます
クリストファー・ノーラン監督の作品で気になってはいたがなかなか見れてなかったのでようやく見ることができたがやはりこの監督の作品の作り方はとても良い。
初めの方に視聴者を置いてけぼりにしたあと、中盤から魅了し惹きつける技法はどの作品も素晴らしいと思う。
今回は人間の潜在意識についての内容だが、この作品を視聴中、大学の頃に学んだプラトンのイデア論を思い出した。
人間は頭の中でイデア界という世界中にいるそこでは完璧な物事を生成することができる。しかし、それを現実で再現しようとすると完璧ではなく、少し違ったものが出来上がってしまうと言ったものだ。
キアヌ・リーブスのマトリックスもそうだが、人間が思い描いている本物が現実とは限らない。それをこの作品ではコブがモルにインセプションしたここは夢の中であるという考えが夢から覚めても自身の意識の根底に根付いてしまったため、自殺して夢という虚構から本物である現実に目覚めようとしたという悲しい結果を招いたということで表現しているように感じた。
そのため、中盤にヘラルと会った時にいた、寝ている数十人の人達が寝ているのではなく彼らにとって本物である場所で目覚めているという表現も夢というイデア界で本物の世界で生きているという表現なのだと思う。
また、この作品も時間というキーワードが入っており、夢の階層が深くなるにつれ、時間軸がずれていくという表現はとてもおもしろかった。
アクション面でも中盤で無重力の状態で戦うシーンはとても面白かった。夢の中ということもあり、他の映画やドラマでは無重力🟰宇宙ということで宇宙服や舞台が宇宙というのが定番ではあるが、ホテルの中で無重力で戦うという、一見不可解なシーンはとても面白かった。
最後にコブが回したコマが止まりそうだが回り続けていたことで、子供達と会った世界は現実なのか夢なのか分からないという終わり方で、判断を視聴者に任せるような表現から、視聴後も色々と考察させてくれる技法が素晴らしく感じた。