こうみ大夫

アクト・オブ・キリングのこうみ大夫のレビュー・感想・評価

アクト・オブ・キリング(2012年製作の映画)
4.0
人間は何かしらを常に演じている、わざと冗談を言ったり不安になったふりを見せてみたり、幸せな顔をしてみたり。そういう風に演じているのは罪悪感だったり孤独な気持ち、恐れなどを隠すためなのかなと思う。そうしているうちに段々と役に入り込み、自分が演じているのかそれともこれが本当の自分なのかよく分からなくなる。演じているつもりが、リアルの自分の方がよっぽどアクターなことに気づかずにいる。それを突きつけられた時の人間の様子というものをこの映画は映し出していた。当然気持ち悪いような様子になるのだけれど。その独裁者には学がなかったからか、それとも罪の意識がなかったからか分からないけれど、自分がいかに多くの人間の不幸や恨みを無意識に作り出してきたのか、その一端を垣間見るだけで気持ち悪くなってくる。他人事に思えない。だから見終わった後気持ち悪くなった。ジュネーブ条約だからダメとかそんな理由じゃなくて、罪っていうのはもっと個人の心の奥にある闇なんだろうと思った。こんな感情を救えるのはある意味神しかいない。
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