Fuyuki

アクト・オブ・キリングのFuyukiのレビュー・感想・評価

アクト・オブ・キリング(2012年製作の映画)
3.6
4、5年前に観ようと思って見れなかったドキュメンタリー映画。

1965年ごろからインドネシアで起きた共産党員への虐殺。その数100万人(以上ともいわれている)。

その虐殺を実際に指揮、実行してきた老人たちのドキュメンタリー。
正式な取材では、インドネシア軍部から妨害されたため、プロパガンダ的な映画を制作する前提で許可を取り、その映画撮影の合間で首謀者たちにインタビューを敢行し、まとめた映画。

衝撃としか言いようが無い。

冷戦中に翻弄されたインドネシアの背景はあるものの、この虐殺が肯定されている状況にも衝撃がはしる。
それらを実行したのは日本でいう893の様な民間の青年団。その青年団を指揮していた加害者がわの視点から老人達が語りだす。

映画の出だしは、アメリカ映画の英雄気取りの老人達が虐殺現場の凄惨な様子を武勇伝の様に笑みや冗談を交えながら、意気揚々と語る虫唾の走る所からこの映画は始まる。

もちろん映画を撮る前提で、当時を忠実に再現する目的とし協力している彼らには、インドネシアの状況もあり、悪気は感じられず、国の為に行った英雄的な所業なのである。

そんな彼らも、虐殺された共産党員役を家族も巻き込んで演じていくと、徐々に自分達がどの様な事を犯してしまった事に気付きだす。

その様子を3時間近い時間に収めたのが本作品。

気分悪くなる事請け合いの映画だが、真実として刻むべき役割を担っている作品。
Fuyuki

Fuyuki