おりょうSNK

ホドロフスキーのDUNEのおりょうSNKのネタバレレビュー・内容・結末

ホドロフスキーのDUNE(2013年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

"大失敗じゃないかwww"

「ホドロフスキーのDUNE」
Jodorowsky’s DUNE
2013年 アメリカ 90分
@UPLINK京都 平日12:20〜 観客11人

デヴィッド・リンチ「DUNE/砂の惑星」4Kリマスター版公開を記念して芋蔓式に公開されたドキュメンタリー。柳の下の2匹目のサンドワーム狙い的特別上映、未鑑賞だったのでありがたい。

映画化が実現しなかった企画など、映画化された数の何百倍、何千倍とあるだろう。例えば「ゾンビーバー」の続編「ゾンビヨンセ」とか。
が、実現しなかったことを映画化するだなんて話はとんと聞いたことがない。しかも、とんでもなく面白い。

インタビューを受けるホドロフスキーがとにかく嬉しそうでよく笑う。
冒頭の"大失敗じゃないかwww"は、デヴィッド・リンチ版「DUNE/砂の惑星」を見た時の反応だ。あの天才リンチでもこうなるのかと。

ホドロフスキー、実はかなり首尾よく準備をしていて撮影開始寸前だった。時は1975年。スター・ウォーズ誕生前夜。

◾️キャスト(抜粋)
銀河皇帝はサルバドール・ダリ
ハルコンネン男爵はオーソン・ウェルズ
フェイド・ラウサはミック・ジャガー
ポールは俳優やってるホドロフスキーの息子

全員交渉成立。こんなもん見たいに決まってる!

◾️スタッフ(抜粋)
音楽はピンク・フロイド
特殊効果はダン・オバノン
映画の仕事未経験のH・R・ギーガー(エイリアン以前)にはハルコンネン男爵の衣装とその居城のデザインを

特撮監督候補だったダグラス・トランブルは、技術は持ってるが精神的深みがなく、“魂の戦士"ではないと採用されず。なんやその理由!けど分かる、まじめやもん!

いやはや…癖、つっよ!こんなもん見たいに決まってる!知らん人だけどほかにも癖つよつよの変人が勢ぞろいだ。

絵コンテやイメージ図盛りだくさんの脚本という名のDUNE設計図は、広く出資を募るために多くの映画会社に配置された。

が、資金面でストップが掛かってしまい頓挫。

だが、ホドロフスキーのDUNEは生きていた。
多数の映画会社に配置されたDUNE設計図は、ハリウッドで活動するほとんどのクリエイターの目に触れ、大きな影響を与えた。
影響を与えられた映画が、DUNEの絵コンテや決定デザインと対で紹介される。一部こじつけを感じるのもあったけど、なるほど、これはDUNEだと膝を打つものばかり。

紹介された映画はどれも「俺はDUNEだ」と胸を張っている。その様は、ポール亡き後も銀河にはポールの意識が残り、みんなして「俺はポールだ」と宣言する場面と同じだった。

実はホドロフスキー、失意のズンドコから抜け出せずデヴィッド・リンチ版を見る気がなかったのだけど、息子から「魂の戦士なら見なきゃ」と焚き付けられて見たのだった。で、上述したセリフにつながる。

傑作ドキュメンタリー。
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