Kumonohate

白ゆき姫殺人事件のKumonohateのレビュー・感想・評価

白ゆき姫殺人事件(2014年製作の映画)
4.5
例えば一つの出来事があったとする。いったい何が起こったのか、事実を探るべく調査したとする。だが、その結果、判明した事実は一つではない。お互い少しずつ異なる“事実”が無数に存在する。そして、それらの“事実”は、時間とともに常に変化する。しかも、人は嘘つきで忘れっぽく自己チューで都合の悪いことは語らない。それ故に、ネジ曲げられた無数の“事実”がそこに加わり、“事実”の数はさらに増殖する。こうして増殖した“事実”のいくつかは、メディアによって変形され増幅されながら拡散してゆく。結局のところ、物事の真相など最後までわからないままなのだ。自分が何者であるかという真相すら、下手をすれば見失ってしまう。なんてことをテーマに据えた本作、極めて面白い。原始メディアとの対比、意味深な主人公の最後の笑い、悪意の無い人間が殆ど出てこない設定など、一筋縄ではいかない傑作である。井上真央の演技も良い。
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