佐藤でした

NOの佐藤でしたのレビュー・感想・評価

NO(2012年製作の映画)
3.5
1988年のチリ。電子レンジが各家庭にやってきた時分。長らく続いた独裁政権の、続投の是非を問う国民投票が行われることとなった。YESかNOか。
投票日までの27日の間、一日15分の深夜枠のテレビ番組が与えられ、NO派をPRすべく、新進気鋭のCMクリエイター、レネ(ガエル・ガルシア・ベルナル)が起用される‥。

なんか“北風と太陽”のような話だなぁと。
それが実話だというのだから興味深い。

独裁政権支持派のYES陣営のやり方が力尽くの“北風”なら、NO陣営は穏やかに事を運ぶ“太陽”。

政治には、どれが正しくてどれが間違っているというものはきっと無い。北風が絶対悪いわけでも、太陽が絶対良いわけでもきっと無い。

ただ、これ以上、血を流さずに政治を進めることは可能かもしれないし、それは支持政党に関係なく“みんなの願い”かもしれない。

国民の「NO」を勝ち取ることに決めたレネ。しかし迷う。作ったものに自信が持てない。そりゃそうだ。炭酸飲料1本を手に取らせるCMとはわけが違う。

人々が空を見上げているような希望的イメージがいいか、被害者の声を集めて慈悲の心に訴えかけるのがいいか。
相手のやり方のように、データを集めた理詰めがいいか、強い言葉を詰め込んだ直接表現がいいか。

人はどんなものに心を動かされるだろう。

「投票日」。まさに文字通り、フタを開けてみなければわからない。

恐怖政治という名のコートを着た国チリの
北風と太陽の実話。
佐藤でした

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