交通事故を起こした大御所の女流作家 御手洗薫と、事故を起こされた被害者の息子である無名の新人作家 神崎龍平の奇妙な関係
事故の被害を盾に女流作家を脅迫し、自分のゴーストライターになって大成しようとする
最初は脅迫から始まった関係だったが、次第に御手洗薫は「神崎龍平」として書くことに楽しみと生きがいを見出していく
まるで舞台のような作りの映画で、優雅な雰囲気
御手洗薫の大御所感も凄くよかったし、神崎龍平の幼さやヘタレっぷりもアリだなと思った
酔った際になぜか行ってしまう場所、
無意識に呼んでしまっている名前、
劇中には身体の関係による「愛」も描かれているが、そこには「心」はない
しかし薫と龍平には「身体の関係」こそないが、「心」はまるで片思いをしているかのような恋心に似たドキドキ感があります
ゴミに捨てられていた龍平の未発表作品を命を懸けて行った添削はもはや薫の愛の集大成でもあったと思う
龍平にとっても薫の死を知った後の落胆ぶりや、遺書を手に取るまでの躊躇いなどは、心情はいかようにも受け取れるけれども、やはり遺書を読むことで「受け入れなくてはならない」という自覚をするのが恐ろしいと思うほどに、親子愛、師弟愛、色々な愛が複雑に混ざり合って、龍平にとっても薫は大切な存在になっていったのではないかと思う
「御手洗薫の偉大さを思い知るがいい!」は切なくも悲しく、しかし恰好よかったです