TOT

胸騒ぎの恋人のTOTのレビュー・感想・評価

胸騒ぎの恋人(2010年製作の映画)
4.0
ゲイのフランシスとストレートの女友達マリーがパーティーで知り合った男の子ニコラを好きになってしまう恋の顛末。
前作では母と息子の葛藤を痛々しいくらい鮮烈に描いたが、恋愛の三角関係はポップで可愛らしく「よそ行き」な感じがなんだか微笑ましい。
なんとなくドランは恋愛が好きで恋愛に救われてきた人なんだろうなという気がする。なんとなく。

3人の恋愛の初期衝動の数々はおかしいやら身につまされるやら。
偶然を装って待ち伏せするけど彼の気持ちがわからず押せないフランシス。普段は皮肉屋で勝気な性格だが彼の理想の女を演じようとするマリー。ダビデでありコクトーの描く美であるところのニコラは、2人が本気になり出すと腰がひける。
ニコラみたいな奴いたなー。
周辺人物たちの恋のエピソードを映すカメラがいたずらにズームインズームアウトする意図はよくわからないけど、各エピソードは3人の恋の行方とリンクして楽しいね。

ラストDalidaの「Bang Bang」が流れる中また新たな恋に足を踏み出す2人に苦笑しながら、また最初に戻って繰り返し見たくなる、軽やかな秀作であり習作。
TOT

TOT