しみー

ウォルト・ディズニーの約束のしみーのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

メリーポピンズ/リターンズに向けて復習その2
邦題に抗議したい映画のひとつ

トラヴァース夫人がホントに嫌なヤツ過ぎてアッパレ。エマ・トンプソンもお見事すぎる。映画だから笑えるけど実際にこんな人いたら無理笑

ルース・ウィルソンがこの映画と同年公開のローン・レンジャーでも"開拓時代で夫に先立たれて苦労する妻"の役やってて一時期このイメージが離れなかった。

メリーポピンズが子どもを救うためにやってきたと思っていた製作陣にトラヴァース夫人があきれ返ってしまうシーンで、メリーポピンズはただの子ども向けの物語ではなく、彼女にとってもっと特別なものであるとやっと気づき始める。

梨が嫌いなこと、バンクス氏の口ひげや赤色に執拗なまでにこだわる理由が1906年パートで徐々にわかっていき、"ヒステリックな意地悪ばあさん"というイメージが払拭されてく。譲れない理由があってこだわっていたんだとわかって切なくなる。
メリーポピンズのことを『彼女』と呼ぶのもただのキャラクター以上の特別な思いがあるんだなって伝わる。

映画最後の親子のシーン
「わたしをひとりにしないで」
「決して 約束するよ 決して一人にしない」
(このシーンもくそ泣ける)を観たうえでウォルトが「娘たちとの約束は一度も破ったことがない それが父親というものだ」と言うのに対してトラヴァース夫人が「そう?」と冷たく返すシーンを思い返すと、あれはウォルトのエゴを冷たくあしらったんじゃなくて自分の父親を否定されたように感じたからなんだと気づいた。お父さん子だった彼女にとって父親は完璧で尊敬の人物だったから勝手な『父親像』を語られたくなかったんだと思う。
くそ泣けるあのシーン、記憶の中で微笑む父親に対してトラヴァース夫人も微笑み返してて、約束を果たせなかった父親を恨んでることはないし今も変わらず愛してると言葉なしに伝えてる素敵シーン。

映画のなかでウォルトは『ねずみ』のことを、トラヴァース夫人はメリーポピンズのことを「家族」と語っていてポスターの二人の影もミッキーとメリーポピンズになってるのがめちゃめちゃgood

『ウォルト・ディズニーの約束』って題名は(ディズニー氏の映画制作秘話なのか~)て興味持ってもらえそうでいいけど、この映画はディズニーの話でも制作するにあたって交わした約束の物語でもなくて、ヘレン・ゴフと彼女の父親の物語。父の救済と自分への許しをメリーポピンズという物語に託したって話で、題名は『Saving Mr.Banks』(バンクス氏を救う)にしなきゃいけなかったと思うんだ!!だって映画の内容意味変わっちゃうでしょ!!ウォルトとトラヴァース夫人の約束はほんとに伝えたいことじゃないじゃん!!っていう心の叫びでした。
しみー

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