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ジャパニーズ・ストーリーのCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

ジャパニーズ・ストーリー(2003年製作の映画)
3.0
【トニ・コレット発狂!クズ過ぎる日本のサラリーマン】
先日、調べ物をしていたらトニ・コレット演じる女性が地質研究用ソフトウェアを日本人に売りつけようとする『ジャパニーズ・ストーリー』たる物語が存在することを知った。トニ・コレットといえば『ヘレディタリー/継承』や『もう終わりにしよう。』で強烈な顔芸を魅せた俳優さん。彼女が第56回カンヌ国際映画祭ある視点部門出品作品にて、綱島郷太郎と情事を育む映画に出ていたとのこと。これは興味あるぞということで早速入手して観てみました。

これはバブル時代の日本、島耕作とかに憧れてイキッている日本人の風刺画であり、日本では映画祭で少し上映された程度に留まっているのも納得の問題作だ。と同時に実際に、この手の日本人が存在する以上、日本でも知名度があがって欲しい作品である。

地質研究ソフトウェアの販売しているサンディ(トニ・コレット)は、日本からやってくる実業家の相手を任せられる。彼女はこの案件に一抹の不安を宿していた。やがて、タチバナ・ヒロミツ(綱島郷太郎)がやってくる。彼女は接待をするのだが、カラオケでは"Danny Boy"を下手くそに歌うもんだから必死に盛り上げないといけないし、酒に酔いつぶれて「ハイ、ハイ」しか言わなくなる。翌日、車で送迎中、彼は電話で大声で会話している。会話の内容はわからないのだが、明らかに自分の悪口を言われていることにサンディは心底腹が立ってくる。とっととソフトウェアを売りつけてこいつとはおさらばしようと、岩盤の爆破見学や研究所案内といった一通りのガイダンスを手早く終わらせるのだが、何故か彼は「もうちょっとこの土地を見て回る、お前は俺の専属ドライバーだ」と言い始める。

こうしてオーストラリアの果てなき道を走ることとなるのだが、車が立ち往生してしまう。しかも、そんな時に彼は全く役に立たないのだ。しかしながら、彼の童心のような好奇心。日本にない自然への興味がスパイスとなり、呉越同舟する中で段々と肉体的に心を通わせるようになる。

本作は徹頭徹尾、面倒臭い日本人サラリーマンの介抱をし続ける話だ。何故か、タチバナの出身は神戸のはずなのに沖縄民謡「ちんさぐの花」が流れるといった文化的に間違っているように思える描写もありフラストレーションが溜まることでしょう。しかしながら、外国人に日本を褒め称える番組が多い時代だからこそ、こういった日本人に対する嫌悪の映画の存在を認知することは重要ではないだろうか。

政治的話を差し引くと、この時代からトニ・コレットの顔芸は凄まじく、中盤に訪れるとある展開で発狂する姿は迫真である。納得感のある発狂を魅せてくれます。

ということで、トニ・コレットが有名になった今、再評価されてほしい作品でした。
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