スズランテープ

アンビリーバブル・トゥルースのスズランテープのレビュー・感想・評価

4.3
暴力がどつきしか存在しない世界。
あまりにも面白い超高速会話劇。キャラクター造形の巧さよ。

若いうちに見といて本当によかった。当時の社会情勢が反映されているのは間違いないと思うが、オードリーのキャラクター像は普遍的で、今見ても魅力的なものだと思う。

登場するキャラクターは、割と極端な思想の持ち主ではあるのだが、多面的で人間らしさが全開。その描かれ方もセリフだったり行動だったり何気ないショットだったりで描かれており、ただ見ているだけで全てのキャラクターを愛おしく感じてしまうニクい映画。極端な思想は少しわざとらしいくらいなんだけど、それも意図的な映画の面白さになっていて、キャラクターたちがぶつかり合うセリフの応酬には舌を巻いた。

特にオードリーには魅力を感じた。核がニヒリズム的な思考を彼女に植え付けているのではなく、元々あった空虚さに正当性を付与させるために、核問題に無理に感心を寄せている感じがして、物凄く共感した。これは若い頃ならではの感情の動きの気がする。大人びた美しさとかわいさに加え、どことなく幼さを感じる名キャラクター。

あとオードリーが、元受刑者のキャラに会いに行く時に、大きなサングラスをつけているのだが、口紅は唇からはみ出して線になっていて、大人になりたいけどなりきれない少女の描かれ方としてめっちゃ良かった。彼女にはだいぶ感情移入してしまった。

青春映画ベスト5には入る。
スズランテープ

スズランテープ