おとうふ

17歳のおとうふのレビュー・感想・評価

17歳(2013年製作の映画)
3.4
この世に17歳という年齢にフォーカスを当てた作品ってカテゴライズ出来るくらいたくさんある。
それだけ17歳という年齢はドラマティックであり文学や映画の題材にに向くようなある種特殊な年齢であるということはわかる。
わかっている。わかっているが、どうしても17歳は特別だ、という前提で話を進められる度になんのドラマ性もなかった私の17歳が報われない。
いつも17歳系の作品を見る度にその年齢の危うさや魅力を感じつつも、モヤモヤが拭えないのだ。
宇多田ヒカルのファーストラブに全く共感できないように、自分の中に原風景がないと、世の大勢が共感するなどと言われてもと閉口してしまう。
40歳くらいで何かすごい良い事でもないと割に合わないと思っている。
という私の話はさておき、この映画を観ていてまず、何度「なんて美しいんだ」と口にしたことか。
このモデル出身のマリーヌ・ヴァクトという女優さんは、美女にも美男にも成り得る性別に囚われない芸術的な美しさを感じた。
ビョルン・アンドレセンのタジオを彷彿とさせる程に美しい。
この女優さんが画面に写っているだけで絵が容易に保たれる。
そんな絶世の美女を見出したフランソワ・オゾンの美意識ってやはり並外れたものじゃないと、そう感じた。
あと個人的に美女が着るモッズコートって大好き。ジーンズにスウェードのブーツも最高な組み合わせ。
モッズコートって野暮ったくなるかオシャレに着こなせるか難しいゆえに、綺麗な女性がサラッと着こなしているのを見るとキュンとする。
パーティでの地味な服装も、塩梅がよかった。美人って適当に結んだ髪に、適当に着た服が外しになって色っぽいんだよね。
私的には洋服を着ている方が綺麗な人だと思った。
知性を感じる瞳をしているから。
そこも狙いだったんだろう、女の武器を最大限感じさせる外見を持っているより、ガーリーなコードよりモッズコートが似合い、潤んだ瞳より意志を感じさせる眼差しの彼女だからこそ、痛々しい感じが出せたのだろうな。
良い映画でした。
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