mh

非行少女のmhのネタバレレビュー・内容・結末

非行少女(1963年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

金沢の寒村を舞台にした若者の恋愛ドラマ。
メインのカップルは日活が誇る美男美女で、一作前が「キューポラのある街」の浦山桐郎が監督してて、万全の布陣。
・ヒロインがほぼ子どもの十五歳設定なので、冷静に考えるとキスもどうなの。
・うっかり放火には無理がある。
・心の動きがわかるようでわからない。
・モスクワ国際映画祭(1963)で金賞受賞が売り文句になってるけど、主席は「8 1/2」で、金賞は三作選ばれている。
など、気になるところがいくつかあっても、とんでもなく素晴らしいシークエンスがふたつあって、全部許せる。
ひとつは、燃え盛る鶏舎。
鶏ごとホントに燃やしてる。いまじゃ実現不可能なやつ。炎をまとった鶏が走る回る映像が強烈。
ヴィターリー・カネフスキー「ひとりで生きる(1991)」では、火の付いたネズミが周囲に散っていくくだりが印象的だったけど、こっちのほうがぜんぜん先だった。
(全ロシア映画大学に在学中の28歳のヴィターリー・カネフスキーにインスピレーション与えた可能性高そう。逮捕は1966年とのこと)
もうひとつは、クライマックス。
駅にある大衆食堂で衆人環視の中で、心情を吐露するくだり。これがまーすごい。警察官、ガラの悪そうなグループが注目している中で、痴話喧嘩をしてる。ふたりを中心にカメラがぐるり回る。同時に移ろいやすいひとの心も描くというウルトラCをやってのけている。
このふたつでもうもとは取れてる。
男の子がいったように、ふたりはそれぞれ別の家庭を築くことになるんだろうなと思っちゃうのが年食った証拠だね。
面白かった!
mh

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