「そして僕はタイムトラベルの最後の秘訣を悟った。パパより一歩先を行ったのだ」
恋愛映画だと思ってみてたら
冒頭で突然「お前には特殊能力がある」と父親に告げられるのでびっくりしてしまうかもしれませんが、
安心してください。
エンドロール後に眼帯の黒人も財力にものを言わせて世界の平和を維持してる社長も、
敵として兄を含めたヒーローチームをわざわざ近くに呼びつけた上で悪さをしてボコボコにされるお茶目な神様もでてきません。
本作は素敵な恋愛…いえ、人を愛するということ、愛する人達と共に人生を歩むということの魅力が詰まった作品です。
あ、でも、主人公は元ホグワーツの魔法遣いだし、ヒロインは魔法に目覚めたお医者さんのお相手だったりするし、妹はジョーカーにベタぼれだったりするので、よっぽどアベンジャーズかもしれない。
そんな本作は「ラブアクチュアリー」等を手掛けたリチャード・カーティス監督の引退作であり、
主演に「ハリー・ポッター」シリーズのドーナル・グリーソン、
ヒロインに「シャーロック・ホームズ」シリーズ「スポットライト 世紀のスクープ」「ドクター・ストレンジ」と引っ張りだこのレイチェル・マクアダムスをすえたSF恋愛映画。
主人公のティムは21才の日、父親から「我が一族の家系の男にはタイムトラベルの特殊能力がある」みたいなことを言われる。
これだけいうと完全に特殊能力バトル漫画なのだが、
彼はこれを「彼女を作る」ことに使用する。
こいつなかなかいい感じの童貞感である。
作品はゆったりと、よいテンポでサクサク進んでいくし、
タイムパラドックスとかそれによる不都合とかはさして描写されないし、
たいしてないし、
主人公に都合よい時間逆行能力を駆使するのはいささかどうなんだろうも思わなくもないが、大丈夫。
あれだろ?大事なのはそこじゃないから細かく描写はしませんでしたってことだろ。わかってるよ。任せろ。
人を愛するということ、
愛されるということ、
子供を授かるということ、
人と別れるということ、
いいことも悪いことも全て人生なのである。
一日一日はとても素敵なことに溢れてる。
時間は戻せたとしても、
時間は永遠ではない。
終わりは来るし、終わりはある。
一日一日を未来から来たと思って、
大切に生きる。
有限だからこそ意味がある。
そんな一見すれば説教臭くなりかねない作品を、非常に素敵な感じでさらっとやってくれるので、
ふとした瞬間になんだか泣きそうになってしまうのです。
父親とのシーンなんてもう結構きました。
よきかな。