ジョージ

アバウト・タイム 愛おしい時間についてのジョージのネタバレレビュー・内容・結末

3.6

このレビューはネタバレを含みます

この映画でいうタイムトラベルとは、ティムと父のアイデンティティの一つであり、つながりと愛情を確かめ合う道具だろう。

タイムトラベルによって取り戻したいものは、時間ではなく、人と人とのつながりと関係性だ。そして、つながりと関係性は、実は、時間を遡ることなく修復していくことができる。
キットカット(妹)が、事故後に自分らしい人生を取り戻していく姿がそのことを示している。
ティムは言う。「僕は一生懸命毎日を生きようとしているんだ。まるで自分があえてこの日に、楽しむためにまた戻って来たかのように。あたかもそれが自分の非凡で平凡な人生の最後の1日であるかのように。」
「最後の一日」とは、決して戻ることのない日であり、瞬間だ。

人生は振り返れば、そこに時間が流れていたように感ずるけど、実際は一瞬、一瞬の積み重ねによって生まれる変化だ。そして、その変化は、人と人、自然やモノとのつながりと関係性がもたらすものだ。人はその変化の中にある一瞬の幸せを求めて、人生の旅を続けている。
父は幸せの秘密の一つとして、「一日一日をただ普通に生きよ」と語る。「普通に生きる」とは、ティムが言うように「一生懸命毎日を生きること」だ。そこにこそ幸せは潜んでいる。
「About Time」とは、そんなことを言いたいのではないかと思った。