んぎ

春、バーニーズでのんぎのレビュー・感想・評価

春、バーニーズで(2006年製作の映画)
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ふとした瞬間に日常の裂け目に触れてしまったときの、畏怖にも似た恍惚の感覚。幸福のベールに覆われた麗らかな光景の裡に横たわる、その危うさに心を揺さぶられる。ここぞという場面でのカットバックが強烈で、カメラを挟んで真正面から対置される両者に視線の交錯はなく、まるで別々の時間が流れているように見えてしまう。バーニーズで気兼ねなく買い物ができるくらい金銭的な余裕もある、傍から見れば「理想の夫婦」でも、その内実は意外とぎりぎりのバランスで成り立っているものだ。バーニーズを通り越してその上階のブックオフにしか用のなかった自分には関係のない話だが……。
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