ClaudeFelix

ラヴレースのClaudeFelixのレビュー・感想・評価

ラヴレース(2013年製作の映画)
2.5
ポルノ映画「ディープ・スロート」に出演し、一躍ポップアイコンとなった女優リンダ・ラブレースの半生を描く伝記映画。

(注:以下ネタバレあり)

アマンダ・サイフリッドの体当たり演技(脱ぎっぷり)が申し訳なくなる程の貧弱な映画でした。実話ベースにも関わらず音楽含め、(偏見ですが)随所で「ブギーナイツ」からの引用だか盗用が伺えて萎えました。
そもそも比べなければ良いのですが「ブギーナイツ」を先に観てると身としては残念で仕方ない。同じ時代の同じテーマなのだから似るのは当然としても、ラブレースの方が明らかな劣化コピーに思えてなりません。
DVのクズ旦那チャック役の、ピーター・サーサガードも、「ブギーナイツ」の(ヤクの売人トッド役)トーマス・ジェーンにキャラクターが丸被りだし、リンダ家の外観もダーク・ディグラーの生家に(時代もあるけど)極めて似ている。

ただし、冷静に考えると、家が似てる点はむしろ逆で、「ラブレース」の方がオリジナルかつ正解なのかもと。「ブギーナイツ」の主人公ダーク・ディグラーの家庭は、モデルのポルノ男優ハリー・リームスを踏まえた背景ではないらしく、家庭環境を加味すればむしろリンダ・ラブレースの家庭をモデルにし、ダーク・ディグラーの家庭を描写してるのかも知れません。

家の問題はオリジナルだったとしても、模倣や盗用に限らず、イラつく場面が幾つも散乱してます。

特筆すべきは、ブルーフィルム(無声のポルノ映画)が流れる場面でして。何故か、どれもこれもスクリーンに緑の画面(グリーンバック?合成する予定だったのか?)ばかりで。それを卑猥だなんだと感嘆するシーンが幾度となく続くのですが、(日本版だけなのか?)観る限り何も映ってないんですよ。「単なる緑色の画面」が観えてるだけで、ただただ興醒めします。
だったらスクリーンを映さずフレームアウトすれば良いの意味が分かりません。
また、リンダが初めてポルノを(ホームパーティで)観るシーンでもスクリーンは単なる緑色。なのに、それを観てる客に視点が代わると、スクリーンから反射し明滅する白い映り込みが役者の顔面に投影されてるんですよ。
合成をしようとして忘れたのか、倫理規定違反したのか、予算不足なのか。とにかく、いちいち中途半端で苛つく映画です。

ストーリー自体は興味深いのに、気を削がれると言うか、本当に勿体ない。

興味深いとは書きましたが、実話とは言え酷い話です。
とにかくリンダの旦那のクズっぷりが酷すぎる。ポルノ女優として契約した直後の撮影現場でさえ制作サイドから除け者扱いされるは、売れもしない空気人形のダッチワイフを販売するは、そんな妻に売春をさせるは、暴力を振るはで、とにかく最低最悪。

そして、そんな旦那から傷物になりながらも逃げ出せたリンダが、ただただ見事。

糞みたいな世界から抜け出して、家庭を作り、自叙伝を販売し、テレビ出演までこぎつけるラストには心からホッとしました。

疎遠になった両親との和解。貞操観念と、離婚を許さないカソリック的な結婚観が、娘を苦しめてたと号泣し謝罪する母親(シガニー・ウィーバーの好演)が、とにかく胸に刺さる名シーンでした。

話は良いんだけど、いかんせん観るに耐えるクオリティが皆無な残念映画でした。

関係ないけど、雑誌プレイボーイのヒュー・ヘフナー役が、metoo問題で色々と取り立たされてるあの「ジェームズ・フランコ」だったのには、一周してちょっと笑ってしまった。似てたけどね。

以上。
ClaudeFelix

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