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愛の嵐のbluetokyoのレビュー・感想・評価

愛の嵐(1973年製作の映画)
3.2
エロ映画として有名だが、エロを目的に見ると、なにがなんだかわからないで終わってしまう。ありていに言って、少しもエロくないからだ。テーマもエロではない。いまでもR-18だが、たしかに露骨なシーンはあるものの内容からすれば、R-13でもいいように思える。内容はナチスものである。ナチスは第二次世界大戦で敗れ消滅するわけだが、その心情は根深く人々の心の奥に巣くっているのだ、ということを言いたいわけである。ちなみに、原題は、「夜勤のフロント係」である。

簡単にあらすじ。
マックスは、渋い感じの老舗ホテルのフロント係。
ある日、若い女性の宿泊客を見て、マックスはびっくりした。その女性客もマックスを見てびっくりした。
マックスは、実は、第二次世界大戦のころ、ナチスの将校で、ユダヤ人強制収容所の管理者だったのだ。
ユダヤ人の中にルチアという少女がいて、マックスは彼女を性的に弄んでいた。女性客はルチアだったのだ。

で、マックスは、いまも、かつてのナチス関係者の集まりに参加していた。かれらは、ナチス残党狩りを逃れるために助け合っていたのだ。

ルチアは、当初、早くホテルを引き払ってしまうと思っていた。だが、なぜか、ずるずるとホテルに滞在するのであった。マックスとの被虐的な関係に囚われてしまっていたのだ。

早くいなくなればいいものを、いつまでもホテルにいるルチアに、ひょっとすると、自分がナチスの将校だったとバラされるのではと考えたマックスは、ルチアの部屋に押し入った。もみ合っているうちに、マックスもかつての被虐的な関係に囚われていくのであった。

ということで、マックスとルチアは、マックスのアパートの部屋で暮らすようになる。

一方、旧ナチス関係者たちは、自分たちが巻き添えにされてしまうと考え、口封じのため、マックスの命を狙うようになる。

マックスとルチアは、部屋で籠城するが、食料も尽き電気も切られ、クルマで脱出する。
橋のところで車を乗り捨て、橋を渡っているところを銃撃されて殺された。

マックスの隠遁生活、もうほっておいてくれよ、という生活が、逆に居心地がよさそうだが、世間は、ほっておかないのである。いつの間にか引きずり出されてしまうのだ。
あるいは、かつての記憶の刻印が、どうにも、マックスを表へと押し出してしまうのだ。
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