ギルヲ

愛の嵐のギルヲのネタバレレビュー・内容・結末

愛の嵐(1973年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

過去を隠してホテルで働くかつてのナチスの将校と彼に強制収容所で寵愛を受けた(弄ばれたと言うべきか)指揮者夫人が偶然再会して、歪んだ愛が再燃する。
それが愛なのかどうかはわからないけれど、強烈過ぎる過去を背負って、現在をただ生きている者同士の破滅的な共依存というのは少しはわかる気がする。
オーストリアの元ナチ将校の横の繋がりという史実を絡めての、非常に特殊な心中ものとして観ました。死に装束(?)をどう見るかかな。実は強制収容所で二人の時間は止まっていたのだと見るか、死を覚悟して、強烈すぎた過去(=良くも悪くも生の実感のあった過去)に戻ることを選んだと見るかで、二人の関係性が変わるような。私には、後者、歪んだ共依存の果ての必然に見えました。
シャーロット・ランプリングがとにかく美しい。ダーク・ボガードは出てくるだけで文芸感が出る今はいないタイプの俳優さんですね。
変態映画と言っちゃえばそれまでなんだろうけど、それだけじゃない、なにやら深い映画だと思います。
ギルヲ

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