デニロ

冬冬の夏休みのデニロのネタバレレビュー・内容・結末

冬冬の夏休み(1984年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

1984年製作。脚本は朱天文、監督は脚本も兼ねる侯孝賢。侯孝賢作品の中では一番好きだ。日本では1990年の公開。この頃アジアの映画作品が多く公開されていた気がする。

トントンとティンティンの兄妹の夏休みの話。

お母さんが病気になったんでお父さんはその看病、お兄ちゃんとふたりで田舎のおじいちゃんのところで夏休みを過ごすことになった。おじいちゃんは少し怖いが診療所のお医者様。おばあちゃんは優しくしてくれるけれど、叔父さんは少し頼りない。そのおじさんのガールフレンドは綺麗な人だけれど、叔父さんと同じで頼りない。お兄ちゃんは田舎のこどもたちとはすぐに馴染んで遊でいるけれど、わたしは女の子で混ぜてもらえないからつまらない。おもちゃの扇風機で涼んでみたりする。日本の女子高生みたい。

ちょっと変なおねえちゃんがいてお兄ちゃんの友だちは揶揄っていたけれど、そのおねえちゃんはわたしが線路で転んだ時に助けてくれた。おねえちゃんに背負われておじいちゃんの家まで送ってもらった。とてもやさしくて大好きになったけど、わたしのことはやっぱりよく分っていないみたい。変なおねえちゃん。

お父さんからお母さんが快方に向かったという連絡が届いて、お父さんがわたしたちを迎えに来た。あのおねえちゃんとお別れしたかったけど、叶わない。

夕焼、小焼の、
あかとんぼ、
負われて見たのは、
いつの日か。


夏休み、冬休み、春休み。こどもの頃、遠くにいる祖父祖母のお見舞いや葬式に行くものだと思っていた。夜行電車で長時間じっとして辛かった思い出。そして、変なお姉さんはわたしの記憶の中にもたくさんいる。本作のワルガキのように付かず離れずいつも傍にいた。ともだちの家に遊びに行ったらそのお姉さんがいて。その時から内なる差別心というものを知る。いまでも忸怩たる思いが募る。
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