ちろる

キングス・オブ・サマーのちろるのレビュー・感想・評価

キングス・オブ・サマー(2013年製作の映画)
4.0
終わった瞬間胸の奥がキューと締め付けられる。
あいつに築き上げた中指、それは世界で一番愛おしいFポーズ。
ジョーとパトリック2人の表情がめちゃくちゃ自然で、あのシーンに余計な台詞がないことがとても有り難い。

意固地になる事と、自立する事は全く別物。
でもそんな事が分かるのはもう少し先。
親に反抗して、周りに反抗するために17歳のジョーには意固地な気持ちが必要だったのだろう。
そんな、思春期ならではの意固地がたくさん詰まったこの作品、痛々しいのと、瑞々しいの両方をバランスよく見せて極上の青春映画に仕上がっている。
私は少年時代を通過した事はないから、上半身裸になって、馬鹿みたいに走り回って、ボロボロの秘密基地で一人前になってしまった気分になっちゃう愛おしきこじらせ男子たちがとても羨ましい。
苦々しい親友同士のひと夏の家出ものがたりなのだけど、ここに個性派ビアジオが加わってなんとも言えない現代版スタンドバイミー風味となる。

ぎこちない親子関係。きっとまだまだ課題はたくさんあるけど、ちょっとだけ優しくなった父親の顔が、親子の新しい2人の時間を予感させてくれた。
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