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クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃんのAZのレビュー・感想・評価

3.4
この作品は感動すると色んな人が言ってて、ずっと気になっていたのだが勢いで見てみることに。昔の「クレヨンしんちゃん」の映画シリーズは何個か見ていて感動もたくさんしてきたが、この作品では感動できなかった。それはこの作品がいけないのか、自分からその頃の感情が失われてしまったのか。

盛り上がりのシーンを待っていたら終わっていた。

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相変わらず子供ガン無視のアダルトなネタ満載。だけど、その表現が見てるだけで面白いからネタが分からずとも楽しめるように作られている。

ただ、昔ほどその笑いは響いて来ず、むしろ心配している自分がいた。これ伝わんのかな?と。つまり冷静に見ちゃっている自分がいたわけだが、映画を見すぎるとこういう状態になってしまうのが苦しい。

また、久々に見た「クレヨンしんちゃん」に対して、とにかく懐かしいという気持ちが溢れてきてしまい、作品を見ているより「クレヨンしんちゃん」というものを見ている感じが強く、あまり作品にのめり込めなかった。

これは自分のせいもあると思うが、それがなかったとしても作品としてそこまで良かったか微妙なところだったかなと思う。

それはテンポの良さの代償でもある。どんどん進むストーリー展開。立ち止まって何かを考えるという隙があまりなかった。登場人物たちも、内省する時間などなく、とりあえず出来事が起き、それにただ反応するというだけに見えてしまった。

ラストの腕相撲も、いかにもという演出。父が自分自身と向き合うことで、父としての自分を再確認するというもの。けどそれに付随する父の葛藤だったり家族の感情という部分がほぼ描かれてなかった。

昔の作品はもっとその辺りの表現をシリアスに丁寧に描いていたと思うだが、時代にあってないということなのだろうか。

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作品性に関してはそんなに良いと思わなかったが、現代に対する問題定義をストーリーに組み込んだり、大人向けのネタを差し込んだりと様々な観客に届けようという意識が感じられ、今でも「クレヨンしんちゃん」シリーズは不動だなと思った。

ただ、この作品で伝えたい格の部分があっさりした表現にとどまっていたのが残念。もっと攻めて良いと思うけどなぁ。
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