ちゃんゆり

チョコレートドーナツのちゃんゆりのネタバレレビュー・内容・結末

チョコレートドーナツ(2012年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

好きだったシーンはたくさんあるけど
マルコがニコッとしてそれをみて2人がニコッとするシーンにはみているこちらもにっこり。
各人の演技力には感動しました。
ルディもマルコもポールの上司のやなやつもみんな、眼差しだけで、後ろ姿だけで、愛しさも軽蔑も悲しみも表現してくれやがる。


マルコの声に耳を貸してくれる大人がもっと周りにいたら、
でもそもそも2人と出会わなければ彼の人生の終わりはこんなに早くなかったかも、
想像しても現実にたらればはないし、亡くなった人は何も話せないわけで、というか生きていたとしてもマルコの本当の気持ちはマルコにしかわからないわけで、

何が言いたいかって、観た人はみんな思うことでしょう。ハッピーエンドがみたかったですね。
それでも、2人と出会ったことで、マルコの人生がすこしでも良きものになったのなら。



「正義などないんだな。」
「それでも闘うんだ」
世の中は実際、理不尽に溢れていて
それに憤ったり泣いたり時には心が折れかけたりするけど、それでも、諦めるか諦めないかしか道がないんですよね。



♩「わたしたちは必ず 解放される」

とルディが歌うラストは、口パクで踊っていたドラグクィーンだったころより、自分自身を表現しようと、差別や偏見への怒りと悲しみと悔しさと、同時にそれに立ち向かう気持ちとが感じられるぐっとくるシーンでした。

いやなやつがしっかりいやなやつでちゃんと嫌な気持ちにもならせてくれたのも有り難かった。
さまざまなマイノリティに対しての理解は、この映画がとられた時代よりは進んでいるはずだけどそれでも、まだ当事者にしかわからない苦しみや悩みは尽きないと、わたしなどには語る資格はないかもしれませんが、
物事を自分で考えて判断する力は大切なのも間違いないが、自分にとっての正義は時に、人にとってそうではないかもしれないということを忘れてはいけない。
ただ、自分の身の回りに困っている人がいたら手を差し伸べられる人間になりたいと思いました。
ちゃんゆり

ちゃんゆり