Kei

チョコレートドーナツのKeiのネタバレレビュー・内容・結末

チョコレートドーナツ(2012年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

少し期待しすぎてしまった。

トランスやゲイの人たちの受けている差別や悔しさを社会に提示してくれるのは大変良い事と思う。
友人にもそういう人々がいて現在の日本においても、一つ一つはささやかながらトゲのようにちくちくと刺さる差別があるのは目の前で何度も見ているので歓迎すべき作品と思っている。

とはいえ、視覚的に好みでない男女の絡みですら不快に思う事があるのにノーマルな自分が男性同士の絡みに違和感を覚えてしまうのは差別的なのでは?と誘導するような展開はすこし窮屈で強要的に感じてしまった。

そしてなにより腹立たしかったのが、マルコの死をもってして判事たちに「あなたの判断のせいで」と手紙を送る事で子供の死を利用してカタルシスを示そうとしたこと。
そんな結果からの正義の主張と歪んだすっきり感のために子供を、しかもそうでなくても不幸な身の上の子を殺さないで欲しかった。
この部分がファンタジーであるとかフィクションであるとかの前提を踏まえても、いや、むしろフィクションだからこそ受け入れがたい展開だったので残念に思う。

問題提起として非常に意義のある作品であると思うし、なによりアラン・カミングの歌は素晴らしかったので重ね重ね非常に惜しくて残念。
Kei

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