『AURA』もだけど学校を居心地の悪い場所、黒く淀んだ密室として描いているのがスゴく良い。その中で接点のなかったはずの男の子とカースト上位の女の子の“共鳴”も良かった。特に勇気を振り絞ったクライマックスの“手渡し”、日常とここではないどこかを常に描いてきた日本の傑作アニメーションの新たな一つと思います。
二人だけの世界ってロマンチックなワードもだけど、セリフ回しもアニメっぽさを排しているのが良かったし、そもそも実写を意識したカメラワークも効いていて、喧騒の描写にしても抑揚がありですね。あとやっぱり上田麗奈さんの芝居はとんでもない。『ハーモニー』のミィハを忘れるぐらいにキャラしか見えないし。
【解説】
本作は「若手アニメーター育成プロジェクト」として文化庁より委託を受けた団体が実施したプロジェクト「アニメミライ(2011年度~2014年度)」の作品群の一つ。後に大きな話題を呼ぶ『アイの歌声を聴かせて』を手掛ける吉浦康裕さんが監督・脚本を兼任。