ダイヤモンド

太秦ライムライトのダイヤモンドのレビュー・感想・評価

太秦ライムライト(2013年製作の映画)
3.0
華やかな映画界・テレビ界を支える大部屋役者たち。それも、“斬られ役”。
役名すらつかない、一般的には演技とは見做されない、立ち回りの端役。でも主人公香美山清一にとっては、タテこそが演技。それを胸に刻み、長年斬られ役を努めてきた。独り稽古もかかさずに。

その姿はもはや、「道」_。
求道者といえる。

しかし時代の波は容赦なく、映画界・テレビ界に吹き荒れる。時代劇は時代遅れ、しかも制作費がかかるため、敬遠される。当然香美山たち、大部屋役者たちもあぶれることになる。
ただ、彼が愚直なまでに追求してきた「道」を、ひそかに見守り、志を引き継ぐ者がいた。
その若い女優のおかげで、香美山は最後の花道を踏むことができた。

福本清三_。
彼を主役にして、自身の半生を映画にした作品(ドキュメンタリーではなく)。喋らせると不器用ぶりが出てしまうのが逆にリアリティがあって良いし、なんといっても太刀を握り、役に入ったところはダテじゃない。何十年もこなしてきた斬られ役がその面構えに刻みつけられているし、存在感がありました。

正直、テレビの時代劇はほとんど観ません(なぜなら、一本の太刀であんなに人が斬れるのかとか。それに独特の様式美がニガテ)。でもこうした観点で観ると、案外深いなと感心させられました。
それに何より、立ち回りのシーンがカッコよかった。