カッシー

007 スペクターのカッシーのレビュー・感想・評価

007 スペクター(2015年製作の映画)
3.8
クレイグ版ボンドの集大成。
カジノ・ロワイヤル、慰めの報酬、スカイフォールを経てボンドが自分の過去に向き合うストーリー。
前3作は観ておいたほうがいいです。

結論を言ってしまうと最高傑作という声も多い前作、スカイフォールは超えられなかったかな。

今作最大の見せ場であるはずのスペクターのボス、オーベルハウザー、またの名をブロフェルド。こいつがなんか小物っぽいんだよなぁ。クリストフ・ヴァルツの不気味な悪役という演技はとても良かったのですがキャラクターの背景が微妙。
過去3作でボンドを苦しめてきたル・シッフル、Mr.ホワイト、ドミニク・グリーンそしてシルヴァが実は皆オーベルハウザー率いるスペクターの一員として暗躍していたという展開を用意しておきながらオーベルハウザーのボンドに執着する理由がとても個人的で規模が小さく感じられました。
さらにスカイフォールで過去を断ち切り、もう一度007としてやれるということを証明したボンドに過去の亡霊的な悪役をぶつけるのはどうかと。

もう1つプロットで不満だったのが前作スカイフォールの悪役、シルヴァもまたオーベルハウザーがコントロールしていたという設定です。個人的に今まで観てきた映画の中でもトップクラスに悪役としての魅力に溢れたキャラクターだったし、スカイフォールはシリーズの中でも特別な作品という位置付けだったので彼もまた計画の一部だったという展開は少し残念でした。

ただしやはりこれはボンドムービー。
007というキャラクターの優雅で上品なヒーローとしての存在感と雰囲気、程よい荒唐無稽さやカジノロワイヤルから続く硬派なアクションは健在。ストーリー自体に大雑把なところも見えますがむしろそれは往年のスパイアクション映画の良さとも言えますし、観ていて最高に楽しいという点は外していません。
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