カッシー

オッペンハイマーのカッシーのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
3.4
劇場で観ることができて良かった。
陳腐だけど第一の感想はこの一言。

赤狩りとストローズとの対立がサスペンス的な盛り上がりを見せるものの、基本的には淡々とエピソードが描かれていてもっとドラマチックな展開を予想していた分拍子抜け。

ただしニューメキシコでのトリニティ実験を丁寧に描いた緊張感はすごかった…
全体的な音の演出が今作の見どころの一つであり、音の使い方が実験シーンの空気を作り上げていて爆発の閃光がついに上がった時に思わず息が漏れてしまいました。

今回鑑賞するにあたって、オッペンハイマーに関する前知識に乏しすぎたのがまずかった。
あ、あの人が出てる!に気を取られて時系列が行き来するオッペンハイマーの功績と疑惑の部分をしっかり追い切れなかったが痛手でした。彼の人生の要所と関連する人物の名前を事前に理解しておくべきだった。
もう少し勉強してからではないといけなかったと反省しました。

そして自分の中でもなかなか整理がつかない部分として、実際の原爆投下の惨状が主人公の若干の幻視以外に全く描かれないこと。
エピックなものとして描かない誠意、あるいは投下した側の想像力の足りなさを描いたという考え方もできますが…
やはりとんでもないものを発明してしまったことを伝え切れていないのではないか、不誠実なのではないか。
どうしてもモヤモヤは拭えない。

とにかくキリアン・マーフィーお疲れ様。
ノーランさん、次はインターステラー路線のとんでもSFが見たいです。
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