dm10forever

マッドマックス 怒りのデス・ロードのdm10foreverのレビュー・感想・評価

4.4
★ネタバレ注意★

【公開と後悔】

以前にも備忘録的な感じの短文レビューは残しておりましたが、このたび「マッドマックス:フュリオサ」公開記念という事で改めて復習(復讐)鑑賞しましたので、レビューもキチンと書き直しましょうと。
なので、前回のレビューに「いいね」を頂いていた皆さま、誠に申し訳Sorryです。

いや~それにしても・・・これは公開当時に劇場で観なかったことを、在りし日のレーザーラモンHGが腰を振る速度くらいに心から激しく後悔した一作でしたが、その気持ちがまたぶり返して来ましたわ(笑)

ほぼ半分以上の時間がカーアクションシーンといってもいいくらいに迫力ある映像のオンパレードだし、SEだけでなく音楽もいちいちカッコよすぎる。

前回はDVDかなんかで観たような記憶ではあるんだけど、これは家のTVでは満喫できないよね。
・・・って言いながら、結局今回も6月8日の新作鑑賞に間に合わせるためにスマホでチビチビ観ながらだったんですけどね(;^_^A

この作品については、先にレビューした「~フュリオサ」でも結構書いてるのであまり書きませんが(・・・っていうか、もう書ききった、いや、やっぱりまだある)、そこで改めて思うのは「ジョージ・ミラー、スゲ~」なんですよね。

きっと今まで「マッドマックスシリーズ」を全く観たことが無い状態で、この作品から初めて観たっていう方はきっと面食らったんじゃないかな?

それこそチラシやCMで何となくの情報は入ってくるだろうけど、観始めてみたら誰が誰だかわからない状態で、やってることが全てイカレてるから「あ~きっとこいつら悪い奴なのね~」とか「トム・ハーディはきっといい奴だよね。なんせ主人公だし」っていうことをひたすら「感じる」タイプの映画なんですよ、ぶっちゃけた話。

勿論、過去シリーズから観ている人にとっては「おかえりなさい」でもありつつ「こんにちは」でもあるくらいに新鮮な感じもありつつ、やっぱり考察を仕掛けたくなるくらいな要素はビンビンにありつつも、初見の人を決して除け者にしない安心設計・・・っていうか、下手すりゃ過去作ファンすらも置き去りにするくらいのぶっ飛び設定とも言える。

この辺は、ジョージ・ミラーが潔いくらいに「えぇ、マッド・マックスですけど、何か?」っていうスタンスのドヤ顔で作った作品でもあるんですよね(紆余曲折も相当あったらしいけどね)。

で、この作品単体で観ても面白かったんだけど、今回の「~フュリオサ」が作られたことで、シリーズを通した物語だけでなくあの世界観そのものにまで深みも加えてしまったお陰で、10年経った今になってこっち(~怒りのデスロード)まで再評価されるっていう現象にも結び付きました。

例えば「怒りのデスロード」では、ウォーボーイズの中からニュークス(ニコラス・ホルト)のような「個性」を持ったキャラが登場しますが、実はこれも「~怒りのデスロード」単体だけではニュークスの存在がどういうものなのかがあまり浮き上がってこないんですね。
何なら「いい奴」っていう側面の方がクローズアップされちゃって、その反動で「(ウォーボーイズの)イモータン・ジョーへの忠誠心なんてそんなもん?」っていうくらいにも映っちゃう。

でも、そこを踏まえた上で「フュリオサ」を観ると、もはや神格化されたイモータン・ジョーへの絶対的な忠誠心というものがウォーボーイズの中にキチンと確立されていて、そこに迷いや躊躇いという余地は存在しない「ピクミン状態」なんですね。
だからこそ、ニュークスのような「迷い」を持つキャラクターが存在することで、「狂っている奴ら」のイカレっぷりがより際立って見えてくるんだと思います。

ある意味ウォーボーイズの思想は「狂信的」「妄信的」でもあるんですが、裏を返せばそれだけの「圧倒的な支配力」や「絶対的なカリスマ性」があるからこそ、イモータン・ジョーはシタデル砦を完全に支配出来ていたし、その辺の「悪の総合力」のようなものはディメンタスよりは頭一つ抜けていたのかもしれません。
ディメンタスは、グループにとっての「カリスマ」ではあったけど「(真の意味での)リーダー」ではなかったっていう感じかな・・。
どっちかというと、学校祭の実行委員長的な「お祭りリーダー」みたいな感じ。
その点、既に「生徒会長」としての地位を築きあげていたイモータン・ジョーとは経験の差がものを言ったっていう感じだったのかもしれない。

そしてやっぱりシャーリーズ・セロン姐さんですよね。
アニャたんが演じたフュリオサから見れば年齢が・・・って感じもしますが、そこは「丸刈り」と「おでこ黒塗り」が上手くイメージを繋げてくれて、結果的にはそこまで違和感なく観ることが出来ましたね。

まぁこの作品の段階では「アニャたんで続編」なんて話はなかったし、そもそも「シャーリーズ・セロン姐さん=フュリオサ」が完璧だったので、それ以上もこの時点では求めていなかったし。

因みに・・・
フュリオサと言えば「大阪桐蔭高校野球部ばりの坊主頭」が代名詞ともなっていますが、当初は赤毛×ロングっていう設定だったみたいですね。
でも、いざ制作ってなった段階でセロン姐さんの漢気が炸裂して髪を刈り上げてしまったそうです。
結果的にはそのお陰で「不屈の女フュリオサ」のイメージがガツンと出来上がったので大成功だったと思うんですが、そのお陰で続編でフュリオサを演じることとなったアニャたんまでもが「繋がり」のために坊主になったっていうのは「おまけ」ってことで。

それにしても、この作品単品だけでも「足掛け10年」もの間評価が揺らぐことが無かったくらいの傑作だったってところに「~フュリオサ」が公開されたことで、本作の細部や背景にまで改めて脚光があったような感覚ですよね。
何なら「フュリオサ」は下手すれば蛇足にだってなる危険性はあったと思うんですね。
それくらい「~怒りのデス・ロード」は完成形だったから。
でも、あえてこの2部作を持って「フュリオサ・ストーリー」を見事に描き切ったって考えたら、かなり壮大な計画だったってことなのかもしれないですよね。
一応、「~フュリオサ」はスピンオフっていう扱いらしいんですが、もしそうだとするならこの「~怒りのデス・ロード」とのワンセットでスピンオフという扱いでも良かった気もする。
これはあくまでも「フュリオサの物語」だからね。

っていうことで「フュリオサ」のお陰で、改めてこっちも大好きになったという「時間差で飛び込んできたベストムービー枠」に推薦→合格ということで。
dm10forever

dm10forever