おそばマニア

マッドマックス 怒りのデス・ロードのおそばマニアのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

3Dで観ました。だからまあ観るっていうよりは体験しようという気持ちで、「考えないぞ!」って決めて、言葉を頭で組み立てたり(つまり解釈のために手持ちの知識を引き出すことすら)しないよう、意識を集中して観ました。
もともとのほうのマッドマックスはむかし観て「痛そうだなあ」とか「リスクとリターンが釣り合ってない」と思った記憶があります。けど幾分古いですし、きっぱり別物と思って今作を観ました。
で、まあもちろんすごい良くて、ウルッときたのは三箇所。ひとつめはニュークスがこける手前、イモータンジョーに直接銃を預かって「英雄の館(valhalla)に」って背中押されるとこで「すげー報われるじゃんよかったね」ってニュークスに感情移入して、で、ふたつめは緑の地がなくて膝を突くとこが「きよるぞきよるぞ。泣かしにきよるぞ」と思いながらも画面があまりにも綺麗で心を打たれてしまって、で、みっつめが輸血シーン。

まずはこれを3Dで観たっていうのが正解だった。家のちっこい画面でDVDで観るとどうしても、最初に言ったような、言葉や理屈で、「映画を読む」みたいな方向にどうしてもいっちゃう。だからといってお祭りバカ映画っていうわけでは決してないから(そういう評も見掛けたけど)、読む余地みたいなものも当然ある。で、批評脳の人とかは観ながら「ハイオク袋?」「なんで女ばかり?」「舞台が未来であることの意味って」とか勝手に疑問持って勝手に自己解決して腑に落ちるんだと思うんだけど、「それよりもっと大事なとこいっぱいあるんじゃね???」っていう。『燃えよドラゴン』の有名な台詞を引くまでもなく、とにかく目で見て耳で聴いて感じることが大事だっていう姿勢が正しかったと、鑑賞後に確信しました。疑問に思ったとこは鑑賞後、思い出せるぶんだけ考えればいい。編集もすごい大胆でほとんどダイジェスト版みたいな切り方になってるとこが何回かあったんだけど、それくらい駆け足だから、とにかく次々起こることをひたすら追うことになる。ギャーギャー騒いで物が壊れて人が死ぬだけの典型的なおバカ大作みたいな見方して冗長だなんて感じる人もいるかもしれないけど、この映画はよく見ることを要求してる。つまり、画面に無駄なものが写ってないから、それを取り零さないよう、かなり体力を使った。

そういう感じで、結構没入して見れたんだけど……輸血シーンの「俺はマックスだ」って言うところで、「「固有名」の「物語」」っていう安い腹落ちの仕方をしてしまって……こうして言葉にしてしまうことをなんとしても回避し続けて終わりたかったので、そこが惜しかった。いや、最初に名乗らなかった時点でどこかでなにかしらの形の収拾がつくのは決まっていたわけだからこれでも良かったんだけど、もっとわかりづらくして欲しかったっていう、わがままというか、好みの話かもしれません。群衆のなかに紛れるラストシーンの効果を上げるために必要っていうのも解るんだけど……一回だけ言う、とかじゃだめだったのかな。イモータンジョーのあのシビアな退場が許されるならいけたんじゃないかって気もするし。

書きたいことまだまだ山ほどあって、車の底ばっか撮るとか、水しぶきや砂嵐っていう自然現象がことごとくきれいだとか、子産み女きれいすぎとか、銃の音の素晴らしさとか、乗り物のディティールがいかにして省かれ足されてるかとかほんと無限に、見たこと全部書きたいんだけど、きりがないので、おわり。