DanyangQifu

たまこラブストーリーのDanyangQifuのネタバレレビュー・内容・結末

たまこラブストーリー(2014年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

TVアニメ『たまこまーけっと』の続編映画。

『たまこまーけっと』では、たまこの住む周囲や商店街で、デラやチョイ達と共に繰りひろげる日常ドタバタコメディでした。
日常コメディとして考えると、他の京アニ作品の方が秀でているように思いましたが、いつまでも頭を下げて使わずに観られるような安心感がある作品で、僕はとても好きです。また今回の映画に繋がる話や下地はTVアニメの方で補完されているので、これを観ておかないと映画の感じ方が違うかもしれません。

とまぁ、他の方々が話されている通り、『たまこまーけっと』という作品は『たまこラブストーリー』の盛大な前日譚なんですよね。
前作をみて背景を知っていると、今作でここまで思春期の恋愛模様を描いてくれるとは思ってもみず、恋愛耐性の無い僕では観終えた後、爽やかな虚無感に襲われました。

今作、TVアニメではへタレまくりだったもち蔵が勇気を出して、たまこに告白するという、もうそれだけで青春を感じてしまうのですが…。
たまこ自身も考えたこともなかったのに、もち蔵の告白と同時に世界が変わって見え、同じように思えても、時は進んでいる事を実感していく描写が素晴らしい。

また背景がとても写実的だと思い、キャラクターと少し乖離しているような感じがしましたが、これはたまこや高校生からみた心象世界なのかなと。
というのも、全く将来なんてものは分からないけど、決心して踏み出して行かないといけない時がある。恋愛も夢も、先が見えないから怖く感じたり、どのようにしたらよいか分からない。またずっと同じでいたいのに、時は過ぎていく。そのギャップにまた驚く。
高校の時って大人との境目にあるため、余計に逼迫感を感じるのかもしれません。
自分自身の高校時代も、いつも何かに追われているような、変化を強いられるような気がしていました。とても歯がゆくて、もがくような感覚。しかし、なんだか分からない希望のようなものもあったと思います。
今の自分にも、あの時感じた希望や夢は消えてないと思いたいものです。

もがいた先にケジメをつけて辿り着いた二人のその先には何が待っているのか。
「苦さは頑張った証」
良い言葉ですね。