千年女優

未来を花束にしての千年女優のレビュー・感想・評価

未来を花束にして(2015年製作の映画)
3.5
封建社会で女性の権利が限定される1912年のロンドン。夫と息子と生活する平凡な主婦で洗濯工場に勤務するモード・ワッツ。劣悪な環境下で黙々と働く彼女が、女性活動家で時に過激な行動を起こす婦人社会政治連合のイーディスとの出会いをきかっけに女性参政権を求める「サフラジェット」の一員として行動する様を描くドラマ映画です。

女性に参政権はおろか時に人権すら与えられない時代に闘った実在の人物達をモデルにした物語を、監督サラ・ガヴロンと脚本アビ・モーガンの女性コンビで映画化した作品で、作品の評価は賛否両論分かれたものの主演キャリー・マリガンの演技が賞賛されて後の『プロミシング・ヤング・ウーマン』『SHE SAID』へと続く流れを作りました。

実際のサフラジェットの活動にも議論が残る様に「テロ」という行為への疑問が感情移入を難しくしていますが、それもむべなるかなと思わせる卑劣な女性の扱いに胸が痛みます。この手の役を演じさせたらお手の物のマリガンの演技は素晴らしく、特に前半の自分の言葉が響いたことによる高揚は、「参政権」を巡る物語に相応しい白眉です。
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