2本立ての映画はあまり好きではなく、疲れるのでなるべく1つの映画は1本2時間前後に収めて欲しいのだが、この大作に
4時間超必要だったのはうなづける。
教師となった涼子(尾野真千子)は、母校である城東第三中学校に赴任する。
新しく新任となった校長 上野素子に、同校で『伝説』となっている23年前のある事件についての顛末を語り始める…。
人気作家、宮部みゆきのサスペンス小説がもとになっており、込み入った仕掛けがあるストーリーを想定するも、それほど豪勢な仕掛けはない。
前編121分、後編146分と長いので、ある程度覚悟して観た方が良いだろう。
1人の少年の死を巡って、それぞれの思惑が交差する。
1人が動くと隣りに伝播する。
またその1人が動くと、そのまた隣へ。
人の獲物にありつこうとハイエナのように寄ってくる者。
一方で、欲望の渦に巻き込まれ、人生を台無しにする者。
ストーリーだが、あえてこの作品の…少なくとも前篇のキーワードを上げるとすれば『嘘』と『勇気』ではないだろうか。
この映画の何より素晴らしい点は少しずつの作為と無作為、善意と悪意が悪霊のように事態を混乱させ、関係者を傷つけていくそうした過程を見事に描き切っているという点だろう。
残念なのは、前編がプツリと突然終わってしまうところか。
前後編もの映画の場合、ある程度単体でストーリーが構成されることが主流だが、この映画は突然プツリとくる。
唖然とさせられて、それがまた 「後編を観なければ」という思いにさせられた。