Kumonohate

卍 まんじのKumonohateのレビュー・感想・評価

卍 まんじ(1964年製作の映画)
3.7
「卍」観了。すごく好きってワケじゃないが、つい再見。

人間の価値というものは、誠実さとか正直さとか真面目さといった内面などどーでもよく、外見的美しさで決まるのであって、 その美の前にはひれ伏すしかないのだ、という谷崎の主張に、制作当時(今も?)、「そうだ!そうだ!」と心の底から激しく同意した上で映画制作に参加できる人が、余りいなかったのだろうか。若尾文子と岸田今日子による同性愛シーンも、制約がありすぎて(それでも若尾文子の素肌露出はかなりのものではある)思うようには表現しきれなかったのだろうか。だから、一番印象に残るのは、そういう谷崎的なモノではなくて、恋愛には演技や騙しや駆け引きや嘘や過剰が必ずついてまわるが、だからといってその恋愛がピュアじゃないということにはならない、という、別に谷崎作品じゃなくても描けるようなこと。

でも、すごくってワケじゃないが面白い。
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