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卍 まんじのクリームのレビュー・感想・評価

卍 まんじ(1964年製作の映画)
3.9
何だコレは?岸田今日子と若尾文子の演技が、コメディでありホラーである。死にたがりな変な映画。主演2人が情緒不安定で、美しいけどヤバい。こっちの感情まで不安定になる…。でもやっぱり、面白かったです。

谷崎潤一郎の小説が原作。
柿内園子は大阪の女子美術学院で日本画を学び始め、観音像を描いた。その顔がモデルの顔ではなく、洋画コースの社長令嬢·光子にそっくりだった為、2人に同性愛の噂が立った。2人はそれをきっかけに仲良くなり、園子は光子に夢中になり、光子も園子を「姉ちゃん」と呼び親密になっていくのですが…。



ネタバレ↓



光子を裸にして絵を描いたり、手の込んだ熱烈な手紙のやり取りをする内に2人は互いにのめり込みます。しかし、園子には夫·孝太郎が、光子には綿貫栄次郎という婚約者と名乗る男がいた。
綿貫は、2人で光子を愛そうと園子に持ち掛け、誓約書を作ります。それを孝太郎に見せ、園子と光子の中を裂こうとします。2人は真剣な気持ちを孝太郎に理解させようと睡眠薬による狂言自殺を試みます。園子は朦朧とした意識の中、光子と孝太郎が肉体関係を持った事を悟ります。園子は光子に夢中になる夫の気持ちを理解し、3人で過ごし始めます。
3人は、それぞれが抜け駆けし、他の2人が愛し合っているのでは?と疑心暗鬼になり、光子は、柿内の家から帰宅する前に2人に睡眠薬を飲ませる様になります。夫婦は睡眠薬で衰弱しながらも光子を愛します。ところが、綿貫によって3人の関係が新聞に書かれ、3人は社会的地位を失い、自殺するのですが、園子だけが生き残った。すぐに後を追おうと思ったが、2人は自分をのけものにしたのでは?と思ったら、死ぬに死ねない。と園子は老作家に話すのでした。
おしまい。

本当に笑っちゃう程、滑稽な愛情表現の数々が気持ち悪いし、可笑しいし、2人は妖艶だし、面白い作品でした。掌に朱色で書いた無数の「光」を見て微笑む岸田今日子は、マジでヤバい人過ぎて恐怖でした。もっともっと観ていたかったです。昭和の狂気の愛は、面白い。これも演技力あってですが…。岸田今日子さんのホラー顔が大好きなので、満足でした。
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